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有機JAS規格改定、きのこ栽培に関わるポイントまとめ。きのこで有機JAS認証取得への道【第5話】

有機JAS規格改定、きのこ栽培に関わるポイントまとめ。きのこで有機JAS認証取得への道【第5話】
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有機JAS規格が改定されました

 
2017年3月27日に有機JAS規格等の改正が行われました。
施行日は4月26日です。
新規格内容は農林水産省さんのHPで確認できます。
(有機JAS規格、平成29年4月26日施行のPDFを参照)

有機JASでのきのこ生産を目指す方はぜひ『有機農産物の日本農林規格』(PDF)を熟読ください。
 
 
今回の改定できのこ栽培にかかわる部分をまとめました。
参考にして頂けましたら幸いです。
 
 

有機農産物の日本農林規格改定、きのこに関わるポイント

 

○第4条 栽培場

『土壌において栽培される』きのこ類にあっては、栽培開始前2年以上の間、使用禁止資材が使用されていないこと。
肥料及び土壌改良資材(別表1)に掲げるものを除く 、農薬(別表2)に掲げるものを除く 並びに土壌、植物又はきのこ類に施されるその他の資材(天然物質又は化学的処理を行っていない天然物質に由来するものを除く。)をいう。

※『』内が変更箇所です。

別表1と別表2は下記PDFに記載されています。
有機農産物の日本農林規格
 

≪所感≫

現在栽培されているきのこのほとんどはオガクズやトウモロコシ粉末を主体とした菌床栽培、または木を切って菌を植えつける原木栽培です。
『土壌において栽培される』というのは主にマッシュルームフクロタケなど堆肥で栽培するきのこを指しています。

①有機JAS規格改定、きのこ栽培に関わるポイントまとめ。きのこで有機JAS認証取得への道【第5話】

つまりマッシュルームでの有機JAS認証取得を視野に入れて規格を作っている事が窺えます。
 
 

○第4条 栽培場における栽培管理(下記説明が追記されました)

菌床栽培きのこ(おが屑にふすま、ぬか類、水等を混合してブロック状、円筒状等に固めた培地に種菌を植え付ける栽培方法により栽培したものをいう。)の生産において(2)に掲げる基準に適合した資材の入手が困難な場合にあっては(別表1)の食品工場及び繊維工場からの農畜水産物由来の資材の項に適合する米ぬか及びふすまに限り、使用することができる。

 

(2)の内容はこちら

樹木に由来する資材以外の資材については、以下に掲げるものに由来するものに限ること。

ア 農産物(この条に規定する生産の方法についての基準に従って栽培されたものに限る。)
イ 加工食品(有機加工食品の日本農林規格(平成17年10月27日農林水産省告示第1606号)第4条に規定する生産の方法についての基準に従って生産されたものに限る。)
ウ 飼料(有機飼料の日本農林規格(平成17年10月27日農林水産省告示第1607号)第4条に規定する生産の方法についての基準に従って生産されたものに限る。)
エ 有機畜産物の日本農林規格(平成17年10月27日農林水産省告示第1608号)第4条に規定する生産の方法についての基準に従って飼養された家畜及び家きんの排せつ物に由来するもの

(別表1)の食品工場及び繊維工場からの農畜水産物由来の資材の項に適合する米ぬか及びふすまとは、植物の刈取り後又は伐採後に化学的処理を行っていないものであること。
 

≪所感≫

菌床の原料について記載された部分です。
有機JAS規格に沿って生産された農産物や飼料、加工食品を使ってもらうのが最善ですが、それが困難な場合は(別表1)に適合する米ぬか、ふすまなら使って良いと書かれています。
逆にオガ粉、米ぬか、ふすま以外の原料については、有機由来の原料である必要があります。
 
≪菌床栽培の原料をミキサーで練っているところ≫

②有機JAS規格改定、きのこ栽培に関わるポイントまとめ。きのこで有機JAS認証取得への道【第5話】

菌床栽培に使用するオガ粉、ふすま、米ぬか以外の原料ではトウモロコシ粉末、貝化石、お酒の搾りカス、サトウキビなどがありますが、これを全て有機基準で集めるのはかなり難しいと思います。
化学的処理を行っていない米ぬかやふすまなら、トレサビリティさえしっかりして化学的処理をしていないという証拠が取れれば可能性はあると思いました。
(米ぬか、ふすまは、食品工場由来であれば使用できますが、有機米糠と有機ふすまの入手困難な理由を説明する必要があります)
 
 

有機農産物検査認証制度ハンドブック

 
日本農林規格とはまた別に発行されている有機農産物検査認証制度ハンドブック(改定第5版)の第3章できのこ栽培について詳しく書かれていますが、この中で菌床栽培でネックになっていた部分があります。
こちらも一部今回の改定に合わせて変更となった所があるのでポイントをまとめておきます。
 
 

○栽培室の床が土じゃないといけない?

第 3 章 有機きのこの生産管理方法と生産基準
1.2.2 基準を満たす栽培施設

(1) 栽培場の基準(培養、子実体発生、収穫を行う場所)
きのこの生産においても、有機農産物と同様に「土」のある場所(栽培場)での栽培が前提である。
きのこ類の栽培方法は大きく分けて、原木栽培、菌床栽培及びたい肥栽培の3種類があるが、いずれも「土の上」や「土中」での栽培が対象となる。
自然林等にあるほだ場だけでなく、ビニールハウス等での施設栽培も対象となるが、施設内の栽培する場所は「土の上」や「土中」でなくてはならない。
ただし資材運搬等の通路に限り、コンクリート、砂利、パンチングメタル鋼板等の敷設は可能である。

 
栽培場の床が土でないといけないと書かれています。
これはナンセンスですよね。

③有機JAS規格改定、きのこ栽培に関わるポイントまとめ。きのこで有機JAS認証取得への道【第5話】

今回農林水産省から発行されたパブリックコメント内で土の上でなくても生産が出来ると回答されました。

第4条 生産の方法についての基準(栽培場における栽培管理の項)
きのこ類を土壌を用いず栽培する場合、栽培場の床面がコンクリート等で覆われているかどうかにかかわらず、栽培方法が有機農産物の日本農林規格の基準に適合していれば、格付することができます。

 

≪所感≫

パブリックコメントでコンクリート敷きであっても取得出来ることが確認できました。
これはきのこ栽培にとって結構大きい変更だと思います。
 
 

○空調施設のある半閉鎖系施設は不可?

空調設備をもった半閉鎖系施設での栽培は、「自然循環機能の維持増進を図り、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法」という有機JASの生産の原則にはあたらないことから、規格の対象とならない(認定は取得できない)。
気象条件などに応じて施設内を換気したり、加温することは可能であるが、施設内を加温する場合には、有機農産物の生産の原則に則り、林内管理等の際に生じた間伐材や廃ほだ、廃菌床など天然物由来資材を活用することが望まれる。

 

≪所感≫

ほとんどの菌床栽培施設は空調設備が必須の半閉鎖系施設です。
これに関してはっきり『認定は取得出来ない』と記載されてしまっています。

④有機JAS規格改定、きのこ栽培に関わるポイントまとめ。きのこで有機JAS認証取得への道【第5話】

この部分が撤廃されない限り菌床きのこの有機JAS認証取得は難しいと言わざるをえません。
残念ながら今回の改定ではここは変わりませんでした。


---2017年7月20日 追記---

培養中・発生舎での空調、照明も可能となったそうです。
(この件についてはQ&Aに特に記載はありません)
 
 

○原木椎茸は種コマはパラフィン封蝋、スチロール栓も可

今までは原木栽培で有機を目指す場合、種菌は木コマである必要がありました。
しかし、化学的処理された封蝋やスチロール栓に含まれる使用禁止資材が溶出する等、使用禁止資材がきのこ類に施されないのであれば発泡スチロールの種コマや封蝋の種コマも使用することができるようになりました。

--- 追記ここまで ---
 
 

有機JAS規格改定のポイントまとめ

 
今回の有機JAS規格改定により露地栽培やハウス栽培のきのこについては取得しやすくなったと思います。
ぜひバイオコスモと一緒に有機のきのこ栽培を目指して下さる方はご連絡いただけましたら幸いです。

一方で施設で栽培している菌床栽培きのこについてはまだ難しい部分があるのが現状です。

日本農林規格に”きのこ”の単語が出てくる部分も増えており、認証制度自体が有機JASきのこを視野に入れている事が窺えます。
次の改定では菌床栽培でも有機JAS認証取得が目指せるような内容になることを期待しています。
 
 

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露木 啓

About 露木 啓

日本中のきのこをこの目で確かめ、味わい、安全で美味しいきのこを皆様にお届けできるよう日々奮闘中です。北は北海道から南は鹿児島県の沖永良部島まで、回ったきのこ産地は100以上!きのこの奥深さに魅せられ、公私ともにきのこ愛を注ぐ働きざかりの営業マンです。きのこ情報発信サイト”きのこのじかん”で記事を執筆しています。趣味はギターの弾き語り。『きのこといったら露木までっ!皆様にそう覚えて頂けるよう、きのこ情報をどんどん発信していきたいと思いますので宜しくおねがいします!』 ※メールアドレスはダミーです。