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原木椎茸栽培で有機JAS認証を目指すなら種駒は要検討|有機ときのこ【第10話】

原木椎茸栽培で有機JAS認証を目指すなら種駒は要検討|有機ときのこ【第10話】
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今回はすごくマニアックな内容ですが、原木椎茸の生産者さんが有機JAS認証取得を目指そうと考えた時、思わぬ落とし穴になりそうなので種駒について記します。
 
 

種駒(たねこま)って何?

小さな木材にきのこの菌糸を繁殖させたものです。
原木に穴を開け種駒を埋め込む事で効率よく椎茸の菌を活着させることができる、まさに種のような役割を果たします。
 
 
種駒が開発される以前は原木にナタで切れ込みを入れ、自然に椎茸の菌糸が付くのを待つ博打のような栽培方法でした。
失敗すると一家離散しなければならない程のリスクがあったそうで、森 喜作さん(後の㈱森産業の創業者)は「椎茸(なば)よ出ておくれ」と祈る農家さんの様子に胸を痛め椎茸栽培の研究を進めました。
そして、散歩の途中で見かけた将棋の駒からヒントを得て種駒を開発しました。
 
ある原木農家さんが『(森産業さんの本社がある)群馬県には足を向けて寝られない』と言っていたのがとても印象に残っています。
 

≪種駒を植える様子≫

③原木椎茸栽培で有機JAS認証を目指すなら種駒は要検討|有機ときのこ【第10話】

成形駒と木駒

そんな椎茸栽培の歴史を変えた種駒ですが、現在大きく分けて下記の2種類があります。
 

木駒(きごま)

・・・木片に椎茸の菌糸を繁殖させたもの。木槌などで原木に打ち込む。

①原木椎茸栽培で有機JAS認証を目指すなら種駒は要検討|有機ときのこ【第10話】
 

成形駒(せいけいごま)

・・・オガクズを固めて椎茸の菌糸を蔓延させたもの。外菌が入らない様に発泡スチロールの蓋がついていてそのまま指で押し込む。

②原木椎茸栽培で有機JAS認証を目指すなら種駒は要検討|有機ときのこ【第10話】
 
※この他、封蝋(ふうろう)と言い種駒では無くオガクズに椎茸の菌糸を繁殖させたものを原木に植菌し、蝋などでフタをするやり方もあります。
 
 
現在、主流は成形駒となっています。
 
 

成形駒で有機JAS取得を目指す場合の問題点

さてここからが本題です。

以前、有機JAS規格改定、きのこ栽培に関わるポイントまとめという記事内でスチロール栓の種駒でも有機JASを目指せるようになったと記載しました。

今までは原木栽培で有機を目指す場合、種菌は木コマである必要がありました。
しかし、化学的処理された封蝋やスチロール栓に含まれる使用禁止資材が溶出する等、使用禁止資材がきのこ類に施されないのであれば発泡スチロールの種コマや封蝋の種コマも使用することができるようになりました。

現在、原木椎茸を栽培している多くの農家さんがこのスチロール栓型の成形駒を使用しています。
成形駒でも有機JAS認証を目指せる様になった事は、より間口が広くなったと喜んでいました。

ところが、発泡スチロールは椎茸の芽が育ってくると押し出されてぽろぽろ落ちてしまう事があるんです。

有機認証団体さんの見解だと、落ちた発泡スチロールは環境にとって良くないため全て回収して管理する必要がありそうなんです。
 
 
ハウスなどで栽培している分にはなんとか落ちたスチロール栓を集めることが出来るかもしれませんが、山肌や露地で栽培している農家さんにはこれはかなり難しい問題です。
実質、成形駒で栽培している原木椎茸農家さんはまだ有機JAS認証を目指すのは難しそう、と言わざるを得ません。
 
 
出来れば、種駒のメーカーさんが土にかえる素材の成形駒を開発してくれると良いのですが、しばらくは原木椎茸栽培で有機JAS認証を目指す場合、その範囲だけでも木駒で栽培する事をお勧めしたいと思います。
 
 

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露木 啓

About 露木 啓

日本中のきのこをこの目で確かめ、味わい、安全で美味しいきのこを皆様にお届けできるよう日々奮闘中です。北は北海道から南は鹿児島県の沖永良部島まで、回ったきのこ産地は100以上!きのこの奥深さに魅せられ、公私ともにきのこ愛を注ぐ働きざかりの営業マンです。きのこ情報発信サイト”きのこのじかん”で記事を執筆しています。趣味はギターの弾き語り。『きのこといったら露木までっ!皆様にそう覚えて頂けるよう、きのこ情報をどんどん発信していきたいと思いますので宜しくおねがいします!』 ※メールアドレスはダミーです。